20 フランス上陸〜グリーンカードが取得できない !?(前編)

1991年05月 09日 FRANCE Calais(F地点)


UK Map 朝9:00に Dymchurch のB&Bを出発して Dover に向かう。曇り空だが寒くはない。春らしい陽気になってきた。Dover に到着するとFF(フランスフラン)を手に入れるためにトーマスクックの代理店を探した。ロンドンでの情報によれば、フランス国境でグリーンカードを取得できると聞いていたので、現金を持っていたほうが良いと思ったからだ。両替はスムーズだったが、円のTC(トラベラーズチェック)を一度ポンドに両替して更にFFに両替するため2回分の手数料を取られた。おまけにレートはかなり悪かった。トーマスクックのTCは代理店よりも市中銀行の方がレートがずっとよい。(ミッドランド銀行なら手数料はタダ)

 ちょっと早めだったが10:00に Eastern Dock に入る。入り口のゲートでフェリーのチケットを手渡すと、係員の人が乗船券と車に貼る大きなシールをくれた。シールには出港時刻がサインペンで書き込まれていた。このシールを自動車ならフロントガラスに、バイクならシールドに貼りつける。次のチェックポイントは、パスポートコントロール(出国審査)とカスタム(税関)だが、ここはパスポートを見せただけで通過してしまった。あまりのあっけなさに拍子抜けしてしまった。バイクの通関では、あれほど手こずったのに・・・。コンテナーベースの係官に、イギリスから出るときに提示しろといわれていたCUSTOMSという書類も使わずじまいだった。(その後この書類を持っているのが面倒臭くて日本に送ってしまったが、11カ月後、イギリスでバイクを売却するときに必要なことが判明した。)

 乗船までの待機場に移動すると、誘導員にA・B・Cの内のBレーンを進めと言われ、指示どうりに進んで行く。別の誘導員に37番に駐車しろと言われ、そこに停まる。てきぱきした明快な指示でどの車も整然と誘導されている。イギリスを旅していると、日常生活や習慣、法律、建築や道路の造りなど、いろいろな場面で整然とした秩序と合理性を感じることが多いが、これはイギリス人の国民性だろうか。

 待機場には既に何台かの自動車やバスが停まっていたが、バイクはいなかった。P&Oフェリーでは乗船時間は出港の30分前から開始だが(他の国のフェリーは45分前が多かった)、最低1時間くらい前には到着していたほうが良いようだ。バイクはフェリーの船首部分に格納されるので、乗船待ちの車の先頭に並んでいないと他の車の乗船を妨げてしまうからだ。

 待機場の私のバイクの後ろに、2台のGL1500が並んだ。そばに停まるとさすがにデ・カ・イ。私のCB750EXも決して小さいバイクではないが、ボリューム感がまるで違う。おまけに2台とも専用のカーゴを引いている。日本でGL1500に乗っている連中ときたら、成金趣味のプライドの権化のようなのが多くて、ツーリングですれ違っても挨拶を返さず無視する失礼なヤツが多い。そんな訳であまり良い印象を持っていないのだが、これはバイクのせいではない。しかし、彼らはすぐに人なつっこく話しかけてきた。休暇で1ヶ月ほどかけて大陸を旅行するとのこと。こんなデカイバイクで景色の良い快適な道や、無料の高速道路を思う存分走れたらさぞ気持ち良いことだろう。

 少し早めだったが出港の40分前に乗船が開始された。何と私が一番最初にフェリーに乗り込めと合図された。フェリーの船尾側が開いていてそこから入っていく。内部はだだっ広くて薄暗い。船首の方で誘導員がこっちに来いと手招きしているので、そちらに進んで行く。船首側にはバイクの専用スペースがあって、壁に沿ってバイクを停めた。日本の長距離フェリーのようなバイク専用デッキはない。センタースタンドをかけるよう係員が指示する。荷物満載のCB750EXはセンタースタンドかけに力がいる。バランスの関係で400kg近い車重がセンタースタンド付近に集中してしまうため、体調が良くないと、まず一人ではバイクを持ち上げられない。気合いを込めて一気にセンタースタンドをかける。次に横転防止用のロープでバイクを壁に固定する。しっかり固定されているか係員がチェックする。これで乗船完了。貴重品を持って上部のデッキに上がった。

UK 0084 フェリーの中は結構豪華でカフェやレストランがたくさんあった。一番上のデッキに上って、他の車が乗船してくるのを眺めることにした。先ほどの2台のGL1500も入ってきた。これで当分イギリスともお分かれだなと思うとちょっと寂しくなった。出港時間定刻にフェリーは岸壁を離れた。割りと速い速度でどんどん港から離れて行く。船上から見る Dover のホワイトクリフはとても美しかった。けれども海上は少しモヤがかかっていて、15分もすると陸地は見えなくなってしまった。いよいよフランスか・・・。果たしてうまく右側通行に慣れることが出来るだろうか? 頭の中であれこれとイメージしてみるがどうもピンと来ない。風が強いので船内に戻った。

 ちょうど1時間半後にフランスの Calais(カレー)の港に到着した。今度はフェリーの船首側が開いたのですぐに乗り出すことが出来た。だだっ広い駐車場のようなところをレーンに沿って進んで行くと税関のゲートがあった。何とここでもパスポートを見せただけで簡単にパス。バイクの通関審査はおろかパスポートにスタンプすら押してくれない。私はすぐに「旅行者用の自動車保険に加入したいのですが。」と尋ねた。ところが、係官はそんなことは知らないと言わんばかりの顔つきで取り合ってもくれない。さらに話しかけようとすると「後ろからどんどんやってくるから、さっさと行け。」と手で追い払うようなしぐさをする。返す言葉も無く、税関のゲートから外に出てしまった。あっけにとられて辺りを見回す。広い港のどこを探しても自動車保険を取り扱っているような建物はなかった。

 フランス入国、あっさり成功。・・・そして無保険。私は途方に暮れた。

  


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