19 イギリス南東部地方を駆け巡り

1991年05月08日 Dymchurch(A地点南東80km)


UK Map Ashford の町を出発して、30Km北東の Canterbury に向かった。ところが道標を見過ごして通りすぎてしまい、さらに30km先にある海沿いの街 Margate にやって来てしまった。Margate はどことなく熱海に雰囲気が似ている港町だった。レストランやショッピング街、ゲームセンター、バーなどが軒を連ねている。にぎやかそうな町並みだが、時期はずれなのか、寒くて風が強いせいなのか人影はまばらだった。街をバイクでぐるっと一回りしてそのまま降りることなく隣町の Ramsgate に向かった。Ramsgate もだいたい Margate と似たような街並みで閑散としていた。

 ここでUターンして、先程通りすぎてしまった Canterbury に向かった。そろそろ昼なので Canterbury で食事をとろうか、などと走りながら考えていたら、遠くの方に教会の尖塔が見えた。ものすごく高さのある建物のようだ。近づくにつれて「カンタベリー大聖堂」が威容を現した。イギリスを代表するゴシック様式の聖堂建築世界遺産に指定されている。この国で一番高い聖堂らしい。

 近くの広場にバイクを停めた。歩いて聖堂の正門にあたるクライスト・チャーチ門をくぐる。口をポカンと開けてしばらく聖堂の上の方を見つめてしまった。いやはやなんて高い建物だろう。早速、聖堂の中に入ってみた。内部はとても高い ヴォルト天井とそれを支える複雑な形状のアーチと石柱、見事な細工のステンドグラス、大きなパイプオルガンが素晴らしい(平面図はこちら)。空間の容積ではロンドンの「ウエストミンスター寺院」よりこちらのほうが大きいのではないだろうか?

 しばらく聖堂の中を歩き回ってから、すっかり満足して外に出た。街の中心部の通りを散策する。フランスのアルザス地方やドイツでも目にするコロンバージュ(木骨構造)の建物がメイン通りに面して建ち並んでいた。あちらこちらで大道芸人がストリートパフォーマンスをやっている。街とそこに暮らす人々が音楽のように調和している。私はこの街をとても気に入ってしまった。

 イギリス滞在最終日の今日は、とことん街巡りをするつもりなので、再びバイクに跨って次の町を目指した。 30km南東の Dover にやってきた。明日ここからフェリーに乗ってフランスのカレーに渡る予定だが、たぶん当日はゆっくり街を見ている時間はないと思う。そこで今日、街巡りをすることにした。街中にあるチケット・オフィスでフェリーの切符を買った。P&Oという船会社のフェリーで、人間が13ポンド、バイクが27ポンド、合計40ポンド(9,000円)だった。これは高いのだろうか?安いのだろうか? 船名は乗船するときにならないと分からないらしい。チケットを手渡されるとき、フェリーは Eastern Dock から出航するので必ずそちらに行くように念を押された。Dover は町の東西に Eastern Dock と Western Dock がある。

UK 0075 無事チケットを買って一安心。「ドーヴァー城」を見に行ったが、城の入口付近から車が数珠つなぎになっていて全然前に進まない。日本だと、車の脇を通って先頭に行ってしまったりしても、バイクということで大目に見てくれることもあるが、イギリスでは無理。誘導員に最後尾に並ぶように追い返される。ルールに厳しい国なのだ。時間が惜しいので城の見学はあきらめて、次の街 Folkstone に向かった。

 英仏海峡トンネルのイギリス側の玄関口になっている Folkstone も Dover と同じ港町。坂が多くて、高低差のある入り組んだ路地やヴィクトリア朝風の白い建築が美しい街だ。港の近くには海の幸をその場で調理して食べさせてくれる小さな屋台が軒を連ねていて、観光客でにぎわっていた。日本のカニカマボコをカニと称して売っていた。こんなの食べればすぐバレてしまうかとも思うが、めったにカニを食べないイギリス人の間では、こんなインチキ商売が成り立つのかもしれない。

 港近くの蚤の市を見に行った。すごい人だかりだった。家庭で不要になった日用品などをずいぶん安く売っていた。昨日 Dymchurch の街外れでやっていたガラクタ市に比べるとずいぶんましな物を売っているが品質は分からない。何か旅に役立つようなものでもあればと探したが、品数の割りに特に欲しいものはなかった。まあ、買う物がなくても蚤の市は楽しい。

 一日で6つの街を訪ねてまわった。やはりバイクはいい。機動性が高くて駐車場所にも困らない。しらみつぶしに観光するにはこれほど便利な乗り物はない。あすはいよいよドーバー海峡を渡ることになる。次の国フランスが楽しみだ。グリーンカードは取得できるだろうか? 明日が待ち遠しい。


BACK    このページのTOPへ    NEXT