18 シマらない話

1991年05月08日 Dymchurch(A地点南東80km)


UK Map Dymchurch のB&Bで8:00に朝食を済ませ、直ぐに街巡りに出発した。例によって例のごとく、本日もさっぱりしない天気。朝方天気が良くて暖かかったので軽装で走り出したら、まもなく雲行きが怪しくなりポツリポツリと雨が降り出してきた。おまけに今日は北からの横風が強い。東に向かって走行しているので、左半身だけがやたらに寒い。たまらずに、ガソリンスタンドに飛び込み、給油ついでに防寒服を着込んだ。チェーンが弛んでいたのでついでに調整する。

 この季節のイギリスの天気ときたら、救いようがないほど気まぐれだ。晴れたと思ったらいつのまにか雲の塊が流れてきて雨が降り出す。仕方なくレインウエアを着て走り出すと、雨雲が去って青空が見えてくる。「よーし晴れたぞ」と、レインウエアを脱いで走り出すとまた雨が降り出してくる。慌てて停車してレインウエアを着ていると、その最中に雨雲が去ってしまったりする。こんな調子だから、地元の人達はめったに傘をささない。「どうせすぐ止むさ」といった感じで、平気で雨の中をすたすた歩いている。ちょっと本降りになると、店などの軒下に避難してじっと待っている。すると本当に止んでしまうので再び歩き出す。なかなか慣れたものだ。けれどもバイクでは、ちょっと体が濡れても体温が奪われるので、仕方なく一日中レインウエアを着ることになってしまう。

コイン式公衆トイレ Ashford(A地点南東70km)の街に9:30ころ到着した。今日は振替休日なのでどの店も閉まっていて、人影もまばらだ。小さな公園の一角に、アルミパネルでできた楕円柱型の「コイン式公衆トイレ」を見つけた。以前パリではよく見かけたが、大通りの歩道の真っ只中にあって、とてもじゃないけど目立ってしまって使う気が起きなかったが、ここは周りに誰もいないので、モノは試しと入ってみることにした。(右写真はパリにあるもの。これと同じものが置いてあった。)

 10ペンスコイン(23円)を入れてスイッチを押すと扉が自動的に開いた。中に入ると扉が自動的に閉まった。内部は結構狭い。なぜかイタリアンポップのBGMが流れている。何んとなく先進的でいい感じだ。鼻歌を歌いながら用を足す。「これならまた使ってもいいかな〜 (^_^)」
 さてと・・・、用を済ませたので「流す」スイッチを押そうとした。ところが・・? 肝心のスイッチが見つからない。壁にも床にもどこにもない。無い訳がないと思ってよく探してみるがやはり見つからない。腕を組みながらしばらく考え込んでしまった。
「そんなばかな・・・?」
 結局どうしようも無いので、とにかく外に出ようと思い扉に手をかけたら、スーッと自動的に扉が開いた。外に出て振り返ると扉は開いたままになっていて、一向に閉まる気配がない。開いた扉からそのままになっている便器の○○○が丸見えだ。ヒェ〜〜。とにかく扉を締めなくてはと、外のスイッチを押してみたが今度は全く反応せず扉は締まらない。両手で扉を引っ張ってみるがウンともスンともいわない。
「くそっ。こ・・このトイレはオレをからかっているのか?」(^_^;
困ってしまいトイレの中に入ったり出たりしてオロオロする。ど〜しよう?

「・・・・・・」
「しょーがんねえなぁ」
舌打ちして、あたりをキョロキョロ見渡す。・・・誰も、いない。
この場は逃げるか?
そう思った瞬間、脱兎のごとく走り出した。

「くっそぉ! あんなふざけたトイレ、二度と使ってやるもんか!」

 トイレに置き去りにされた○○○を別にすれば、Ashford は美しい街だった。教会は洗練されたゴシック様式の建築でなかなか見事だったし、街の通りのテナントのファサードも連続的な繋がりが美しく調和している。イギリス南東部地方は白い外壁の建物が多い。地元産のチョークを原料にして、漆喰の外壁に仕上げるからだろうか?

 ところで・・・どうも気になる。犯罪者は必ず犯行現場に戻るというが、その心境だ。あのトイレはどうなっているだろうか。ちょうどあれから30分経った。う〜〜ん、どうしても見に行かなければ気が済まない。(^_^;;;
 赤の他人の振りをして公園に戻ってみた。すると・・・、あれ? 例のトイレの扉はなぜかきちんと閉まっていた。一体全体どうなっているんだ???

 


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