14 初めての故障

1991年05月03日 Cheltenham(C地点)


UK Map 昨日、温かいもてなしを受けた Witchurch のB&B(一泊たったの9ポンドだった)を朝9時に出発した。走っていく方角の空には相変わらずどんよりとした雲が立ちこめていた。だんだん薄暗くなり気温が下がってきた。寄り道する気も起こらず真っ直ぐ150km 南下して、保養地で有名な Cheltenham(チェルテナム)を目指すことにした。

 M5を走っているときに、とうとうどしゃ降りの雨になってしまった。こんな激しい雨はツーリングを開始してから初めてだった。大型トラックの巻き上げる雨煙で前方がよく見えない。路面は水たまりになっている。80km/h に減速して必死に走る。
 Cheltenham の15km ほど手前で、急にエンジンがミスファイアーを起こし始めた。やがて完全に2気筒が死んでしまった。こんな所で止まったら大変だ。エンジンを切ってしまったら2度とかからなくなる恐れがあるので、だましだまし運転を続けて、ともかく Cheltenham までたどり着くことにした。

 街に近づくと雨は小止みになった。高速を降りて街に向かう。4気筒エンジンの2気筒しか生きていないので3000rpm 以下ではストールしそうになる。もちろんアイドリングは維持できない。スロットルを常に「開」に保って走行するのは神経を使う。
 この手のトラブルは、CB750 に限らず今までも他のバイクでよく経験していたので、原因はわかっていた。そのための修理道具やパーツも準備してあった。ただ万が一直らなかった場合のことを考え、ガソリンスタンドを探した。

 街に入る手前で大きなガソリンスタンドを見つけた。バイクを店先に止めて、店員に事情を話すと、「OK」と言って、快くガレージを貸してくれた。ガレージに乗り入れるためにエンジンをかけようとしたが、案の定かからなかった。重いバイクを押しながらガレージに運び込む。

 原因はイグニッションコイルの故障だった。コイル内部に雨水が侵入して2次側の電流がリークしてしまったためにスパークしなくなった。CB750は2つのイグニッションコイルで4気筒の点火をしているので、イグニッションコイルが1つ壊れれば2気筒死ぬことになる。雨水がイグニッションコイルの内部に侵入する原因は2つある。

1つは、イグニッションコイルの配置が不適切で、比較的雨のかかりやすい場所に取りつけてあること。特に高速走行中は前方から真横に雨が吹きかかるので、それに対しての対策を講じていないバイクはトラブルを起こしやすい。(例えば V-Max はその典型的なバイク)

2つめは、日本製のイグニッションコイルの全てに共通する問題で、現在でも全く解決されていないのだが、基本的に防水構造があまりにもお粗末で、ちゃちな作りになっているため。車用もバイク用もせいぜい同じ防水性能といった仕様はナンセンスだ。20年経っても旧態依然、一向に改善されないのは、ユーザー(特にヘビーデューティーな使い方をするライダー)の声を聞いて、製品にフィードバックしようとしないメーカーの姿勢にもある。
 イグニッションコイルのどの部分に重大な問題があるかは、お話ししますのでメールください。メーカーさん。

 そんな訳で、持ってきた予備のイグニッションコイルをつけ換えてあっさり修理は完了した。壊れたイグニッションコイルは乾かせば再使用できることもあるので、とりあえずトランクケースに放り込んだ。スペアのイグニッションコイルを2つ持ってきたが、早くも1つめを交換することになってしまった。今後のことを考えると、雨対策をしておいた方がよいかもしれない。
 そこで、今までやったことは無かったのだが、イグニッションコイルをビニールで包み、雨がかからないようにしてしまった。(これは3カ月後に、別のトラブルの原因となってしまった。)

 修理が終わり気分一新。Cheltenham の街に入っていった。

 バイク用のブーツを履いていたのだが、靴底が摺り減って履けなくなってしまった。2万円もしたのにこんなに早くだめになってしまうとは。海外ツーリングの場合、歩きまわる時間がとても多くて、やわな靴ではすぐにだめになってしまうようだ。バイク用のブーツは歩きまわるのに適した靴ではない。そこで今日、Lancasterという街で新しい靴に買い換える事にした。今度はバイク用にこだわらず、歩きまわる事を優先して頑丈な靴を探した。スペイン製の登山靴が30ポンド(約7,000円)で売っていた。足にぴったりだったのでこれに決めた。(その後、この靴もツーリングに適さない事が分かった。どのような靴が海外ツーリングに最も適しているかは後日の日記で。)


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