11 スコットランドへ

1991年04月27日 Edinburgh(D地点)


UK Map シェフィールドの辺りから、再び高速道路M6号線に乗った。高速道路は3車線で道幅が広く走りやすかった。最初のうちは120km/h位の巡航速度で走行していたが、周りの車につられてだんだんスピードが出てきた。この辺りまで来たら交通量が減ってきたので140km/hで走り続ける。このスピードになると、カウリングの振動が止まり、空気の整流が良くなったためか音が静かになった。スピードを出すとバイクのフロントにダウンフォースがかかるような形状のカウリングのため安定性も良くなった。低〜中速度では、フレーム剛性の弱さからハンドル周りに軽いぶれが出るが、このスピードになるとぴたりと収まってしまった。日本で乗っていたときは、高速巡行性がこんなに良いことは気がつかなかった。
 それと引き換えに燃費が悪くなった。一般国道を100km/hで走っていれば燃費は20km/L位だが、このスピードだと15km/Lに落ちてしまった。

 無料の高速道路だが、バイクはあまり走っていなかった。たまに反対車線のバイクを見つけては手を上げて挨拶する。私は日本と同様昼間点灯をしていたが、イギリスで昼間点灯をしているライダーは半数といったところだった。

 高速道路は工事区間があって、制限速度は40mile/h(65km/h)になっている。このような区間ではスピード違反の取り締まりが集中的に行なわれているようだ。バックミラーに白バイ(白でなくて黒だが)が写った。白バイは追い越し車線側後方から私のバイクをじっと見つめている。「オ・・オレ、なんか悪いことしたかな??」日本での違反点数のことが頭に残っていて、白バイを見ると条件反射的に堅くなってしまう。

 そこで、試しに左手を上げて挨拶してみた。すると、その白バイは私のすぐに横にならんで、こちらを見ながらニッと笑って手を上げてサインを返してくれた。そして軽くクラクションを鳴らして追い抜いていった。反対車線を走る白バイにも何度か出会った。すれ違うたびに手を上げてサインをかわした。イギリスでは白バイもライダーの仲間といった感じだった。

 しばらく走っていると、反対車線で黒煙を上げてハデに炎上している白いスポーツカーを見つけた。フェラーリかカウンタックのように見えた。警官が取り囲んでいたが、消火作業をしている様子はなく見守っているだけだった。

 パーキングエリアに入って休憩していると、一台のDUCATIがやって来て私のとなりに止まった。ヘルメットからブーツまで黒一色のライダーはヘルメットを脱ぐとサングラスを掛けなおして、話しかけてきた。
「やあ、こんちわ。どこから来たの?」
「日本から。」
「ほ〜、めずらしいな。日本のライダーに会ったのは初めてだ。」
 なんでも彼は、途中で転けてウインカーを割ってしまったそうだ。照れくさそうに自分のバイクを指さした。私は工具やスペアパーツをたくさん持っていたので「修理しようか」と言ったが、大したダメージではないから大丈夫とのこと。

 なんだか、いろいろな出来事がある高速道路「M6号線」だった。

 

 北上するにつれて牧草地ばかりの風景が広がってきた。気温も下がってきた。木がほとんどなく、草が生えているだけの丘陵地帯がどこまでも続く。山脈のような山は無く見渡すような広い平野も無い。少々単調だが、のどかな風景は童話の世界のようだった。

 午後1時ころ、途中の小さな村のパブに入った。店内の客が一斉にこちらを見つめた。みんな地元の人達みたいで、東洋人の異邦者が珍しいようだった。ちょっと間が持たないような空気が立ち込めて私も立ちすくんでしまったが、すぐに店長のような人がやってきて空いている席に案内してくれた。

 メニューを見せられたが、どのような料理なのかさっぱりわからない。説明してくれたがやはりわからない。そこで、とりあえず「Todays Spcial(日替わりランチ)」を頼んだ。出てきたランチは、ちょっと変わったビーフシチューやジャガイモ、野菜の盛り合わせだった。ボリュームがある上にとてもおいしかった。たったの4ポンド(800円)だった。

 イギリスの食事はまずいとよく言われるが、ツーリングに出発してからパブで出された食事はどこもおいしくて、いわゆるフィッシュ&チップスに代表されるイメージは払拭されてしまった。日本の食べ物は、高級料理以外は化学調味料などで味を整えていることが多いため、"何を食べても同じ味"といった感じがする。イギリスのパブの食事は調味料といえば塩とコショーが中心で、それにハーブを使うくらいで、素材の味が際立っている。そもそも、ジャガイモがこんなにおいしいものだとは、イギリスに来るまでわからなかった。(日本では、じゃがいもを茹でて、塩をかけただけでははっきりいって美味しくない。気候や土地のせいなのか、農薬の使いすぎなのか分からないが、日本を出てから「野菜ってこんなに美味しいんだ」と感じることはこれ以降もたびたびあった。)

 食事が終わって 店を出るとき、店長がノートに記帳しくれというので、漢字で自分の名前をサインした。とても不思議そうに見つめて「これは何と読むのか?」と尋ねた。そこでローマ字でふりがなをふった。スコットランドの人にとっては、漢字も日本語の名前も珍しいようだった。

 再びバイクで走り出した。Edinburgh(エジンバラ)まであと80kmだった。街に近づくと単調な丘陵風景から再びイギリスらしい建築風景に変わった。Edinburghは美しい大きな町だった。街の中心の岩山のようなところの頂上に要塞のような城が建っている。

UK Edingorgh とりあえず今日の宿を確保するために、B&Bを探したが見当違いのところを探したせいかなかなか見つからない。1時間ほど街の中をうろうろして、やっと5件ぐらいのB&Bがかたまっている一角を見つけた。1つ目のB&Bに入って値段を聞くと、シングルで18.2ポンド(3800円)とのこと。ちょっと高いので「ほかを探してみるよ」と言ったら、いきなり「それなら15ポンドでいい」との返事。おいおい(^_^;、随分いいかげんだなぁ・・・。まあ15ポンドならぎりぎり予算範囲内なので手を打つことにした。案内された部屋は広いダブルルームでテレビが置いてあり、18.2ポンドでも高くなかったかもしれない。

 荷物を部屋に運んでからとりあえずシャワーを浴びた。室内で1時間ほどテレビを見ながら一休みする。さあ、これからゆっくりと市内見学に出かけよう。

 


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